
早口ことばと脳の活性化の関係は実験でも明らかに。早口ことばを速く読んでいるときは通常の速度の音読時より、前頭前野※や側頭連合野※※がより強く活性していることがわかっています。
※思考や判断、感情の制御、記憶の生成などに関係する脳の部位
※※視覚、聴覚、言語の理解、記憶の保持などに関係する脳の部位

年をとるとなかなか言葉が出てこないのはなぜ?
脳の情報処理能力(頭の回転)の低下が原因。加齢に伴う脳機能の衰えは避けることはできませんが、脳は何歳から でも鍛えることが可能です。その手段 の一つが「早口ことば」です。

早口ことばって何?
舌をかみそうになる、発音しにくい言葉や音の組み合わせででき た文を、できるだけ早口で間違えずに言うことば遊び。文の意味 をよく考えると、吹き出すほどおかしいことも。
早口ことばを 言ってみましょう
昔からよく知られている 早口ことばがあり ます。 早速言ってみましょう 。
- なまむぎなまごめなまたまご
- 東京特許許可局
- 隣の客はよく柿食う客だ
- すももも桃も桃のうち
- 赤巻紙 青巻紐 黄巻紙
- 坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた
- かえるぴょこぴょこ みぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ むぴょこぴょこ
- この竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったから 竹立てかけたのです
- 抜きにくい釘 ひき抜きにくい釘 釘抜きで抜く釘
- パンダごろごろ みごろごろ あわせてごろごろ むごろごろ

早口ことばがもたらす効果
早口ことばの効果はいろいろ。単なる子どもの遊びと思っていた ら大間違い。
記憶力向上
文章の音読や暗唱をするには、一時的あるいは長期的な 記憶力が必要です。 早口ことばを繰り返すことで記憶の容量が増加。

記憶力向上
早口ことばは舌や口周辺の筋肉を刺激し滑舌を良くします。発声と摂食嚥下(えんか)の器官は共通し ているため、誤嚥(ごえん)防止にも。

気分転換
早口ことばを最後まで言えれば達成感が得られ ます。途中で舌をかみそうになって 楽し く、気分転換になります。

認知症予防
早く正しく読むことで頭の回転が速 く なり、昔のことや人の名前を思い出しやすくなるなど、認知症予防に役立ちます。

表情筋を鍛える
早口でハキハキと発声をする時は顔の表情筋を大きく動かすため、表情筋が鍛えられます。表情が豊かになり、シワの予防にも。

コミュニケーション能力の向上
早□ことばをスラスラ言うためには、内容を理解する思考 力や想像力が必要。これらを高めること
でコミュニケーション能力も向上。

早口ことばの効果が現れる 土壌をつくることも大事
早口ことばの効果を得るには規則正しい生活が前提です。 栄養バランスのとれた朝昼晩の食事、適度な運動、十分な睡眠。これらが揃ってはじめて脳も活性化します。


まずは、速く話せるように口の動きを滑らかにしましょう。

イエアウオ体操
舌を硬口蓋※から下方に、さらに軟口蓋※※に移し、再び硬口蓋前方へと、逆三角形を描くように移動して発音。最低10回繰り返しましょう。
※硬口蓋(こうこうがい) :上あごの天井の前方部分
※※軟口蓋(なんこうがい):上あごの天井の後方部分


パサタカラナ体操
「パ」「サ」「タ」というように、一文字ずつ区切ってしっかりしたクリアな音で。最低10回繰り返しましょう。
パサタカラナ ・ ピシチキリニ ・ プスツクルヌ ・ペセテケレネ ・ ポソトコロノ体操
パサタカラナ体操ができたらレベルアップ。舌や頬、口唇の筋肉がしつかりほぐせます。最低5回繰り返しましょう。


最初から難しい早口ことばに取り組むより、少しすつレベルアップ していきましょう。

「できるだけ速く」からスタート
好きな早□ ことばを、情景を連想しながら1分間にできるだけ速く何度も繰り返します。徐々にスピー ドを上 げましょう。毎日行う必要 はなく、週2日ほど休みを入 れてもOKです。


ステップ3まで進んだら別の早口ことばで最初から。
ステップ1
文字を見ながら早□ことばを1つ言ったら、次は文字を見ないで同じ早□ことばを言います。
ステップ2
文字を見ながら2つの早口 ことばを言ったら、文字を見ないでまた同じ2つの早ことばを言います。
ステップ3
早□ことばの数を1つすつ 増やしながら音読→暗唱を繰り返します。5~7つまで増やしてみて。


早口ことばをはっきりした音で言うには、ちょっとしたコツがあります。
同じ音が連続するとき
例えば、「カカオ」 を速く言ううちに 「カオ」になったり します。ー 音ー 音、 音に触れる惑じで発音して。

小さい「や、ゆ、よ、つ」が入るとき
小さい 「や 、ゆ、 よ、つ」も音に触れ る感じで。「つ」は 一瞬息を飲み込むように止めるのがコツ。

サ行を言うとき
上の歯ぐきに舌先を近づけて適度な 隙間をつくり、息を出します。息が弱いとしっかりした 音になりま せん。

タ行を言うとき
「夕!」「テ!」「卜!」 と鋭く音を出して。 「チ•ツ」は硬口薔に 舌の中ほどを当て、 離す際に発音。

カ行を言うとき
舌の奥を軟口蓋に つけ、息を一瞬止めてから勢いよく出します。このとき息が少ないと音がこもります。

ラ行を言うとき
舌先を上の歯ぐき の裏側で弾 くよう にして発音。舌先 の弾かれ方が翁いと「d」に近い 音に なります。


みんなが知っている早口ことばもいいけれど、自分で作れ ば創作の楽しみも。




前頭葉の働きを見るテスト。定期的に行うことで早口ことばの効果を実感。
ストップウオッチや時計を用意し、できるだけ速いスピードで1から120まではっきりと発音して一気に数え、かかった時間を測定。
結果を記録して成果を見える化するのがおすすめ。
・45秒→50歳代レベル
・35秒→30歳代レベル
・30秒以下は20歳代レベル


早口ことばを言うときに心がけたいポイントがあります。
1. 時間をかけるより、短時間&スピード重視で効果が発揮され ます。アップテンポの音楽を流しながら言うなどのエ 夫をするのもおすすめ。

2. 「これは簡単」と思ったら、2〜3回繰り返しましょう。

3. うまく言えなくても続けることが大切。「トイレを出る前 に、1つ言う」「ラジオ体操と 一緒に」などで習慣化を。

4. 自分にとってやや難しいレベルに挑戦することで、脳は いっそう活性化します。


読経や新聞の音読も脳に効きます

般若心経や新聞のコラムなど、普段話す速度より1.5〜2倍ほどスピードアップさせて読むと、脳の処理能力のアップにつながります。音読や暗唱は好きな言葉や馴染 みのあるものでOK。
誰かと一緒にやってみよう

早口ことばの効果 を得るには継続が大事。誰かと速さを競い合ったりす ると笑いや楽しさが増え、継続しや すくなります。
目に入ったモノを口に出してみよう

例えば犬の散歩をしながら「犬が草の中 に動くものを見つけて興味津々です」などと実況中継。言葉がスムーズに出てくるためのトレーニング。
口の中は筋肉がいつばい!?
発声や摂食唖下には、舌 をはじめ咽頭筋や喉頭筋 など、口の中のさまざまな 筋肉を使います。中でも舌 の形や位置を変えるときに 使われる舌筋には多くの 種類があります。
