
蒸し暑い夏は他の季節以上に眠りについての悩みが増えるとき。しかし、その多くは生活習慣を見直すことで 改善できます。快眠を得られる生活習慣を、今日から実践しましょう。
疲れやすい夏こそ睡眠が大事
寝苦しい季節になりました。寝つきが悪いと熟睡できす、睡眠の質が低下します。
しかも夏は夜が短く、早起き夜更かしになりがち。
睡眠不足が続くと夏バテにも。夏こそ快眠を心がけましょう。

質の良い睡眠とは?
下記の項目に該当するのが、質の良い睡眠。該当しない状態が長く続く場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

睡眠が健康にもたらす効果
睡眠には90分前後の周期がある
私たちの眠りには深い眠りを含むノンレム睡眠とレム睡眠があり、睡眠中はこれを交互に90分前後の周期で4〜6回繰り返します。
成長ホルモンを分泌する

たんぱく質の合成や損傷した細胞の修復再生を促す働きがある成長ホルモンは、入眠直後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されます。
免疫機能を維持する

免疫はホルモンと連動しています。そのため、睡眠不足などでホルモンバランスが崩れると免疫システムは正常に機能しなくなります。
自律神経の働きを整える

副交感神経が優位になると、 体がリラックスして入眠しやすくなります。質の良い睡眠は体内時計や自律神経の働きを整えます。
疲労回復を促す

脳(心)の疲労は主にノンレム睡眠時に、体の疲労はノンレム睡眠時とレム睡眠時、特にレム睡眠時に回復するといわれています。
記憶を整理して脳に定着させる

たんぱく質の合成や損傷した細胞の修復再生を促す働きがある成長ホルモンは、入眠直後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されます。
脳細胞の老廃物を除去する

免疫はホルモンと連動しています。そのため、睡眠不足などでホルモンバランスが崩れると免疫システムは正常に機能しなくなります。
肥満を予防する

副交感神経が優位になると、 体がリラックスして入眠しやすくなります。質の良い睡眠は体内時計や自律神経の働きを整えます。
血圧を下げる

脳(心)の疲労は主にノンレム睡眠時に、体の疲労はノンレム睡眠時とレム睡眠時、特にレム睡眠時に回復するといわれています。
夏のおすすめ睡眠対策
睡眠対策は就寝時だけでなく、朝から取り組むことが大切です。 ただし、猛暑のときは熱中症対策を最優先に。
朝〜日中
朝の光を浴びる

朝の光を浴びることで身体のリズムが調節されます。 睡眠を維持するメラトニンというホルモンの分泌が抑制され、覚醒が促されます。体内時計もリセットされます。
朝食をとる

朝、トリプトファンというアミノ酸 をとると、セロトニンという物質を経て、夜、メラトニンに変わります。トリプトファンは、食事からしかとることができません※
※肉や魚、ご飯、大豆、乳製品、穀類などに多く含まれる
よく噛んで食べる

噛むという行為では、側頭筋や咬筋などの咀嚼筋を動かします。すると その刺激が最も太い神経の三叉神経を介して脳に伝わりセロトニンの分泌を促します。
体を冷やしすぎない

体の中心部の体温(深部体温)は、 日中は高く夜間は低くなります。体温 の高低差が大きいほど深い眠りに。日中体を冷やしすぎると、高低差が少なくなり寝つきが悪くなります。
涼しい時間帯に運動

日中、積極的に体を動かして深部体温を上げておけば、夜間の深部体温との差が大きくなります。ただし、今の時期に運動をするときは涼しい場所や時間帯を選んで。
昼寝は15時までに

体内時計の影響で、日中は14時ころに強い眠気を覚えます。夜の睡眠 に影響を与えないために、昼寝は遅くても15時くらいまでに20分以内 にとどめて。
夕方〜就寝時
夕食は寝る3時間ぐらい前までに

就寝前の食事は中途覚醒を増やすこ とが報告されています。また消化が悪いものを食べると、翌朝朝食を欠食し、体のリズムを乱す要因にも。食事が遅くなるときは、脂が少なく消化の良いものを少量にとどめて。
寝具や寝巻は通気性の良いものを

寝具や寝巻は通気性を重視→し、麻などの素材を選んで。睡眠中は何度も寝返りをうつので、寝具は体 を動かしやすいもの、寝巻は体を しめつけないデザインを。
遮光カーテンで外の光をシャットアウト

夏は日の出の時間が早く、睡眠時間 も短くなりがち。もう少し寝たいと いうときは遮光カ ー テンで光を シャットアウト。真っ暗が苦手な人はフットライトなどで明るさを調節。
寝る前に水分補給

睡眠中は、発汗によって深部体温が低下し、水分も失われます。体内の水分が不足し、のどや口が乾燥すると良い睡眠の妨げに。寝る前にコッフ1杯の水分補給を。
エアコンを上手に活用

熱帯夜にはエアコンの設定温度を 28℃程度にして、寝る1〜2時間前からタイマーで朝4時ぐらいまでつけたままに。覚醒のためには明け方、体温が上がるごとが重要です。
入浴は寝る1時間半前に

夏は、遅くても就寝1時間半ほど前までにぬるめの湯に入り、深部体温を上げすぎないように注意。入浴後は深部体温の低下を妨げないように、室温や寝具などを工夫して涼しく過こして。
アルコールの摂りすぎに注意

アルコールは心身の緊張をほぐす ので、就寝前に飲むと入眠を早め ます。しかし分解されると眠りが浅 くなり、利尿作用も加わって夜中に何度も目が覚めます。
快眠エクササイズ&セルフケア
寝る前に心身の緊張をほぐしてリラックス。ゆっくりしたペースで行って。
脱カエクササイズ
筋肉に力を入れた後に脱力して筋肉を弛緩させるエクササイ ズ(筋弛緩法)です。

顔全体を中心に寄せ、奥歯を噛みしめながら70秒間キープ。次に一気に力を 抜き75秒間休みます。これを3回繰り 返します。

首をすくめるように両肩を上げて10秒間キーブします。次の瞬間、フッと 力を抜いて肩を落とし20秒間脱力。 これを3回繰り返します。

仰向けに寝て両手を挙げ、手の指先か ら足の指先まで全身を思いきり伸ばし 10秒間キーブ。次にフッと力を抜いて 10秒間脱力。これを3回繰り返します。

呼吸は自分の意志で自律神経に介入で きる唯一の方法。ゆっくりした呼吸で 副交感神経を優位に。4秒かけて鼻か ら息を吸い、7秒止め、8秒かけて口か ら吐きます。これを3回繰り返します。
※ゆっくり深呼吸を数回行うだけでもリラックス効果があります
睡眠導入剤(睡眠薬)ってクセになるの?
近年登場した新しい睡眠薬は、以前に比べて、かなり依存性が低くなっています。そもそも睡眠薬は、無期限に服用するものではありません。睡眠の状態を医師に正しく伝え、場合によっては減薬・休薬を検討するとよいでしょう。

寝る前の電子機器の使用に注意
スマートフォンやパソコンなどの画面から出るブルーライトの強い光の影響だけでなく、こうした電子機器を使うと脳が興奮し、交感神経の働きが活発になって寝つきが悪くなります。

眠れぬ夜は感謝の気持ちを思い描いて
寝つけないときは「今日1日無事に過ごせて幸せ」と心の中で感謝。心が平穏になりリラックス して、眠りにつきやすくなります。

夢を見すぎていると感じる人は・・
記憶に残るようなストーリー性のある夢を見るの は、主にレム睡眠時。覚えている夢は明け方のレム睡眠時のもの。強い不安を覚える夢を頻繁に見るときは、ストレスや睡眠不足が原因の可能性が。

こんな不眠には要注意
夜眠れない、日中眠いなど、眠りの障害にはさまざまなものがあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が時的に止まったり、浅くなっ たりすることで睡眠が妨げられます。睡眠中の酸素不足により心臓や全身の血管に負担が かかり、高血圧や脳卒中を起こしやすくなりま す。大きないびきをかくのも特徴。

むずむず脚症候群
日中は気にならないのに、夕方や夜間、安静にしていると太ももやふくらはぎなどの深部に「むずむず」「チリチリ」した不快感が現れ、入眠が困難な状態になります。高齢者になるほど発症しやすいのですが、鉄欠乏も原因になるため、閉経前の女性にも見られます。

ナルコレプシー
日中、会議や運転中など寝てはいけない場面でも、強い眠気に襲われる病気です。感情が大きく変化するときに体の力が抜ける情動脱力発作も、代表的な症状。大きな事故や失敗につながることがあるので必す受診して。
