
心や体の不調を癒したり、毎日の暮らしをサポートしたりと香りは私たちの力強い味方。香りを上手に取り入れて、ステキな毎日を。
心や体に影響を影響を与えるかおりの力
沈丁花の甘い香りに春の訪れを感じたり、香ばしいコーヒーの香りで目が覚めたりと、私たちは常に香りの影響を受けています。香りを味方につけて、心も体も健やかにすこしましょう。
香りを感じる仕組み
花や食べ物などの香り成分が鼻 の粘膜にある嗅覚受容体にくっつくと、その情報が電気信号に変換され、嗅神経を介して記憶や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に送られ、識別されます。

身の回りにはどんな香りがありますか?
”香り”とは良いにおいのこと。私たちの暮らしの中にはさまざまな香りがあります。






香りの刺激で嗅覚が改善?
香りの剌激を与えると嗅神経細胞 が再生・活発化。新型コロナウイ ルス感染症の後遺症である嗅覚障害に対し、特定の香りをかぐトレーニングを行い、改善したケースも。
香りにはこんな効果があります
脳に送られた香り情報は心と体に作用して、さまざまな効果をもたらします。
自律神経のバランスを整える

大脳辺縁系に伝わった香りの情 報はその下にある自律神経を司 る視床下部へも送られるため、 交感神経と副交感神経のバラン スが整います。
脳全体の情報のやり取りがスムーズ

香りにより大脳辺縁系が活性化 することで、 嗅覚以外の感覚情 報が最初に集まる大脳新皮質と のバランスがよくなり、情報のや りとりがスムーズに。
記憶を司る海馬に刺激を与える

嗅覚は記憶を司る海馬に直接働きかけるので、 海馬では記憶が 香りと結びついて貯蔵されます。香りによって記憶が 蘇るの はそのためです。
脳の血流量を増加させる

香りの情報は嗅神経によって伝 えられます。神経が活動すると血管が拡張し、血液が流れやすく なって脳の血流量が増加します。
香りを取り入れるときのポイント
香りの特性を活かした上手な取り入れ方を知っておきましょう。
空気が動く場所に置く

香りの元となる物質は揮発性なので、香りを室内に拡散させるに は、香りの元になるものを窓辺やドアの近く に置き、空気の流れに 乗せるのがポイント。
空気が動く場所に置く

香りの好みはタイミングや体調の変化によっても変わります。 以前は好きだった香りが合わなくなるこ とも。嗅ぎたい香りをその都度選んで。
空気が動く場所に置く

良い香りでも、強すぎ ると頭痛がしたり咳が 出たりすることも。過去に体調の変化があっ た香りは避け、強さは ほのかに香る程度が おすすめです。
精油で
精油(エッセンシャルオイル)は植物の花や葉、実、根などから抽出した芳香性の高い天然の液体です。
手軽に使う
カップに熱湯を注いだあと、精油を2~4滴たらすだけで部屋中にいい香りが。ティッシュに 2~3滴の精油をたらし、 ゆ っくりと香りをかぐなど、手軽に使えます。

ブレンドして香りを作る

精油は組み合わせることでより深い香りになります。一般的に、バラとラベンダーのように花同士、ミントとカモミールのように葉同土の組み合わせ が相性がよいとされます。
アロマスプレーを作る
除菌や消臭などの効果がある精油に無水エターノル、精製水を加えてスプレー*にして 、生 こみやトイレなどに吹き付けます。精油は水に溶けないので、毎回
よく振って使用。

※50mlのアロマスプレーを作る場合:精油10滴、無水エタノール10ml、精製水40ml。
使い切る

精油は貴重なものなので使い切りましょう。例えばバケツにお湯を入れ 、残った 精油を2 〜3滴たらし、よくかき混ぜて雑巾を絞ります。拭き掃除のあとほんのりと香りが。
原液は飲んだり 肌につけない
精油は香り成分が濃縮されたものなので、原液を飲ん だり肌につけたりすると健康トラブルの原因に。保管は 子どもの手が届かないところに。

身近なもので
周囲を見回すと、香りを放つものがたくさんあることに気づかされます。
アロマスプレーを作る
グアテマラにはリラックスの、ブラジルサントス には集中力向上の効果があるとの報告が。目的によってコーヒー豆を選ぶのもよい方法。

スパイスで食欲増進

カレーに欠かせ ないクミンや、肉や魚料理に多用するコショウなどのスパイスの香りには、食欲増進効果や胃液の分泌を促す作用があります。
わさびでカビや細菌の発生防止
餅の入った箱にわさびを入れて密封して おくと、室温でもなかなかカビが生えてきませ ん。これはわさびの香り成分に抗菌作用があるため。

柚子湯や菖蒲湯で血行促進

柚子の果皮に多く含まれるリモネンや菖蒲の根に多いテルペン類の香り成分は、血行促進や疲労回復に効果があるとされ ています。
街路樹や雑草の香りでリフレッシュ
その香りの強さから沈丁花は七里香、金木犀は九里香の名が。また強烈なにおいのドクダミには抗菌作用が。散歩で香り探しを楽しんで。

葉の香りの抗菌作用を活用した桜餅

桜餅や柏餅、笹だんご、柿の 葉ずしなどは、いずれも植物 の葉で包まれています。 これ は葉の香り成分がもつ抗菌作 用を活用した先人の知恵。
森林の精気フィトンチッド
森林の中に入ると爽快感を覚えます。それをもたらして いるのは樹木が放つフィトンチッドという香り成分で、 細菌や虫を寄せ付けない働きがあります。

気をつけて!「香害」
香水や柔軟剤などの香りによって体調を崩す人や、化学物質過敏症を発症する人が増えています。香水 や柔軟剤などの香りは過度にならないように配慮しましょう。
ハーブで
さまざまな形で生活に役立つハ—ブ。薬効があるものも多いので、薬との組み合わせに注意。
ハーブを育てる
市販のハーブを利用するのもよいけれど、苗や種からハーブを育てれば成長を楽しむ ことができます。セージやタイムは枯れにくいので、初心者におすすめ。

飲み物や料理に使う

採り立てのハーブは、お茶や料理に使うとフレッシュ感を味わえま す。残ったハーブは乾燥させて飲み物や料理に。乾燥させることで香り成分が凝縮されます。
お風呂に入れる
生のハ—ブを直接お風呂に入れると、肌への刺激が強すぎてかゆくなることがあります。ドライハ―ブを袋に詰めて浴槽に浮かべるほうがよいでしょう。

女性特有の悩みに

シソ科のクラリセージには女性ホルモンに似た成分が含まれ、月経困難症や更年期障害の不調を和らげる効果が期待されます。
香りで気持ちを切り替えよう
多忙でストレスフルな現代人。身近な香りや精油で気持ちの切り替えを。
集中したいとき
勉強や仕事に集中したいときは、レモンやスイートオレンジなど、柑橘系の清涼感ある香りがおすすめ。精油のほか果物を利用しても。

明るく前向きになりたいとき
グレ ープフルーツのフレッシュで甘い柑橘系の香りや、 ベルガモットのフルーティな 香りで、落ち込んだ気持ちを 前向きに。

イライラやストレスがあるとき
ウッティでスパイシーな香りのフランキンセンスや、森林浴をしているようなヒノキの香り、爽やかで温かみのある柚子などで心を鎮めて。

子どもが澗廂を起こしたとき
ローマンカモミールやマンダリンなどの香りをティフコーザーなどで室内に拡散させま しょう。なお、子どもに禁忌 の香り*があるので要注意。
ベニーロイヤル、フレンチラベンダーなど

こんな時にも香りが役立ちます
香りはときには思いもよらない効果を発揮し てくれます。
体調のバロメーター
ニンニクを食べると体がニンニク臭くなるように、においが体の状態を表わすことも。例えば糖尿病になると甘酸っぱいにおいを 発するといわれます。

加齢臭にアロマが効く
古本や枯草のような 加齢臭の原因物質の
ノネナールは、男女ともに発生します。加齢奥対策にはレモンやライム、ジャスミンな どの精油が効果的。

介護シーンにも
においがこもりがち な介護シーン。排泄物 などのにおいには、消 臭効果のあるミント系やユーカリなどのア ロマスプレーがおすすめです。

国産の香りが人気
木曽ヒノキ、青森ヒバなど、国産樹木の香りが人気上昇中です。その背景には荒れた森を再生させようというエコロジーやSDGsの考え方があるといわれます。